プラットフォーム・開発体験・UX
プラットフォームのエコシステムから考える多様性のための設計を研究しています。
我々は、プラットフォーマー(P)、デベロッパー(D)、ユーザー(U)の3層のPDUピラミッドで構成していることを整理しました。この図で大事なことは、PとDの関係性です。よく言われる見方をすればBtoBtoCという構図です。この場合、真ん中のBはよくパートナー企業と言われてしまいがちですが、デジタルプラットフォームでは今回のDの部分には個人の開発者が入ってこれるようになったことが特徴です。Pが個人のDを巻き込むことで多様なUのニーズに対応できるようになります。この構造により、一企業が提供するには細かすぎるニッチな市場に対しても、個人Dの開発物によってUのニーズを解決できる可能性が生まれます。
PはUの不確実性の高いニーズ探索のコストから開放され、テクノロジーやプラットフォームの洗練化したり投資できるようになります。ただしその代りに、PはDを理解することや、プラットフォームの安全性や健全性の保持が大切になります。たとえばApple, Google, Microsoftなどのデジタルプラットフォーム企業は、Dのために開発者会議を大規模に開催しています。これにより、PとDが一緒になって、社会の問題を解決する流れが生まれます。このPDUピラミッド構造は、多様性の確保ができるゆえに、常にユーザーイノベーションの可能性を持つエコシステムができ、またビジネスモデルとしても成立できるメリットがあります。
デザイン思考は、Uのことを理解するには優れた方法で、気づきにくいニーズやインサイトを得られますが、ビジネスとして考えると狭すぎることが問題になり、デベロッパーが大企業だとするとその実行が困難になるか、当たり外れのリスクが大きくなることが問題となります。
また、消費者の意見を取り込みながら開発する、ユーザーイノベーションを狙いインクルーシブデザインのためハッカソン、アイデアソンを企画するも、社内で出てきたアイデアばかり。それでも一位を决めて称賛するも、それを商品化するに至らないという経験をした主催者も多いと思います。これは主催がPではなくDだからです。つまりDがハッカソンを行うと、単なるアイデア出しの手伝いをしてもらうだけになってしまうのです。出てきたアイデアを採用するかしないかだけの判断しかできないためです。
しかし主催がPのハッカソンは違います。プラットフォームを使うことを前提としたハッカソンですから、ハッカソンの優勝チームには起業を援助し、その企業が成功すれば、結果的にPにリターンがあります。
プラットフォーマーになりたいからといって、プラットフォームから作ると失敗しがちです。まずはDとUの関係の構築が重要になります。まずは、自分たちも欲しいと思える、魅力的なUXを持つアプリケーションを制作しそれにアーリーアダプターなり、リードユーザーなりのユーザーがついたら、その後にそのユーザー自身がアレンジできるようなパーソナライズ機能をはじめ、さらにもっと使い方を広げるためのAPI公開といった順番で設計を試みるのがよいでしょう。大企業の場合はすでにある主力自社製品をメタ化してしまうのも良いでしょう。
